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2016年3月

2016年3月22日 (火)

宝塚海軍航空隊 栗山良太郎

宝塚海軍航空隊  栗山良太郎

太平洋戦争末期に宝塚歌劇の大劇場が海軍の基地として終戦まで接収されていました。
この本はその宝塚海軍航空隊の歴史小説です。

まずプロローグに三つの話がある。
一つは宝塚歌劇団の組長の話、もう一つはおそらく元宝塚航空隊の人の想い出、そして最後に海軍下士官の益田勝男の日記の一部。

この物語は僕はジャンル分けするとすれば「歴史小説」というくくりになるのではないかと思う。
この小説は、プロローグの最後の益田下士官の日記をもとに作者の栗山氏が物語に仕上げたものだと思うからです。

なぜこんなことを書くのかといううと、この本は作者の解説的なものが一切ない!
「はじめに」とか「あとがき」とか「注」とかがないのですよ、だから作者がどういう経緯で宝塚海軍航空隊のことを書こうと思ったのかや、益田氏の日記にどうして巡り合ったのかや、登場人物の名前が実名なのか仮名なのか、そういうことすら一切説明がないから想像するしかない。

一般的でない言葉には”注”をつけたり、本文中に説明文的なものを書いたりしてくれる小説も多いと思いますが、この栗山氏の宝塚海軍航空隊ではそういう説明もないので、結構理解しにくいところもありますね。漢字の使い方も今ではほとんどひらがなで表現するようなあまり使われない漢字が使われていて結構難しい。

たとえば「甲板掃除」「半舷上陸」などという言葉が出てきますが、最初ちょっとわからなかった。
これは海軍用語ですが、陸上の部隊なのになんで?と思ったんですが、おそらく海軍では地上勤務でも訓練休日で部隊から出て下宿先や家に帰ることを「上陸」と言い、部隊兵舎の掃除のことを「甲板掃除」と言うんですね。

終戦の約一年前の昭和十九年六月ころから昭和二十年八月十五日あたりまでの益田下士官の宝塚海軍航空隊の生活が描かれています。

これを読むと終戦一年ほど前から急激に日本の戦況が悪化して、無理な兵員募集を掛け始めたのがこの頃だったのだなとわかります。

登場人物は益田下士官を中心に練習生、班長仲間、上官、両親等でそれほど多くはないと思うのですが、それぞれに濃い物語がありますね。
先にも書きましたが、この物語は、益田下士官の日記をもとに作者が話を肉付けして作られてます。日記というのは、プロローグで一部紹介されてますが、「何月何日、こういうことがありました」くらいしか書いてないことが多いと思うのです。
日記にいちいち「私はそのときこう言った」とか「彼の気持ちはこうであった」などとは絶対書いてない。
そういう断片的な日記による情報からだけでこの物語を作ってるのだから、やっぱりこの「小説」はそういう意味で読みごたえがありますね。

しかし、読んでいると、あまりにリアルな情景描写に、益田下士官や登場人物で戦争を生き残った人に取材して書いたんだろうなと思えてくる。
実際何人かは小説ができた時点で生存されてるようなので、その方たちへ取材された内容も反映されてると思いますが、いちばん肝心の主人公には取材してない・・・

宝塚に海軍の航空隊の訓練基地が歌劇場に設置されていたというのもびっくりですが、戦時中の日本で、戦争と全く無縁な場所なんてなかったという方が正しいのでしょうね。

そして終戦を迎えたときの帝国軍人と民間人とではその思いが全く違っていたんだなというのがわかりますね。

もう戦後の痕跡なんて日常で見ることはないわけですが、地元宝塚でもこういうことがあったという歴史は忘れずにいたいですね。

追記:木下氏の「宝塚最後の予科練」を読んでの感想ですが、歴史小説より宝塚海軍航空隊を舞台にした”小説”という位置づけの方が良いのかな?
上にも書いてますが本書は注やあとがき等がなくて、作者がどういう風にこの小説を書いたのかわからない。だから今思うと登場人物の名前等はほとんど仮名かな?
フィクションの部分が多いとしても宝塚にあった海軍航空隊の生活と鳴門事件についてしっかり読者に読ませる物語としては良い話だと思います。
それに全く作り話ということでもなくて、やはり宝塚海軍航空隊のことを知るにはいい本だと思います。なにより読みやすいです。

2016年3月19日 (土)

2016モータースポーツ カレンダー

2016年のモータースポーツはもう開幕しちゃってますが、年間のレースの流れを確認しておきましょう。

 

2月28日
SUPERBIKE round1 オーストラリア フィリップアイランド 

3月13日
SUPERBIKE round2 タイ チャーン・インターナショナル
indycar series round1 セント・ピータースバーグ 市街地コース

3月20日
motoGP round1 カタールGP ロザイルサーキット

4月2日
indycar series round2 フェニックスGP フェニックス・インターナショナル・レースウェイ

4月3日
motoGP round2 アルゼンチンGP テルマス・デ・リオ・オンド
SUPERBIKE round3 アラゴン モーターランド・アラゴン

4月10日
motoGP round3 アメリカGP サーキット・オブ・ジ・アメリカ
SUPER GT round1 岡山
全日本ロードレース round1 筑波

4月17日
SUPERBIKE   round4 オランダ TTアッセン
indycar series round3 ロングビーチGP ロングビーチ市街地コース

4月24日
motoGP round4 スペインGP ヘレス・サーキット
indycar series round4 アラバマGP アラバマ・サーキット
SUPER FORMULA round1 鈴鹿
全日本ロードレース round2 鈴鹿

5月1日
SUPERBIKE   round5 イタリア イモラ・サーキット

5月4日
SUPER GT round2 FUJI

5月8日
motoGP round5 フランスGP ル・マン・サーキット
DTM round1 ホッケンハイムリンク

5月14日
indycar series round5 インディアナポリスGP インディ・ロードコース

5月15日
SUPERBIKE round6 マレーシア セパン・サーキット

5月22日
motoGP round6 イタリアGP ムジェロ・サーキット
SUPER GT round3 オートポリス
DTM round2 オーストリア レッドブルリンク

5月29日
SUPERBIKE   round7 イギリス ドニントン・パーク・サーキット
indycar series round6 第100回インディ500 インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
SUPER FORMULA round2 岡山
全日本ロードレース round3 モテギ

6月4日
indycar series round7 デトロイト・レース1 デトロイト市街地コース

6月5日
motoGP round7 カタルニアGP バルセロナ・カタルニア・サーキット
indycar series round8 デトロイト・レース2 デトロイト市街地コース
DTM round3 ラウジツリンク

6月11日
indycar series round8 ファイアーストーン600 フォート・ワース1.5マイル・オーバル

6月12日
全日本ロードレース round4 オートポリス

6月19日
SUPERBIKE   round8 サンマリノ ミサノ・サーキット
ル・マン24h

6月26日
motoGP round8 TTアッセン TTサーキット・アッセン
indycar series round9 ロード・アメリカ 
全日本ロードレース round5 SUGO
DTM round4 ノリスリンク

7月10日
indycar series round10 アイオワ・コーン300 アイオワ・スピードウェイ
SUPERBIKE   round9 アメリカ ラグナセカ・サーキット

7月17日
motoGP round9 ドイツGP ザクセンリンク
indycar series round11 トロントGP トロント市街地コース
SUPER FORMULA round3 FUJI
DTM round5 ザンドポールト

7月24日
SUPERBIKE   round10 イタリア モンツァ・サーキット
SUPER GT round4 SUGO

7月31日
indycar series round12 インディ200ミド・オハイオ ロード・コース
Suzuka8hours  鈴鹿8耐

8月7日
SUPER GT round5 FUJI

8月14日
motoGP round10 オーストリアGP レッド・ブル・リンク

8月21日
motoGP round11 チェコGP ブルノ・サーキット
indycar series round13 ABC Supply500 ポコノ・レースウェイ
SUPER FORMULA round4 モテギ
全日本ロードレース round6 モテギ
DTM round6 モスクワ・レースウェイ

8月28日
SUPER GT round6 鈴鹿

9月4日
motoGP round12 イギリスGP シルバーストーン・サーキット
indycar series round14 ボストンGP ボストン市街地コース

9月11日
motoGP round13 サンマリノGP ミサノ・サーキット
SUPER FORMULA round5 オートポリス
全日本ロードレース round7 オートポリス
DTM round7 ニュルブルクリンク

9月18日
SUPERBIKE   round11 ドイツ ラウジツリンク
indycar series  round15 ソノマGP ロードコース

9月25日
motoGP round14 アラゴンGP モーターランド・アラゴン
SUPER FORMULA round6 SUGO
全日本ロードレース round8 岡山
DTM round8 ブダペスト・ハンガリー

10月2日
SUPERBIKE   round12 フランス マニクール・サーキット

10月9日
SUPER GT round7 タイ チャン・インターナショナル

10月16日
motoGP round15 日本GP ツインリンク・モテギ
SUPERBIKE   round13 スペイン ヘレス・サーキット
DTM round9 ホッケンハイム

10月23日
motoGP round16 オーストラリアGP フィリップ・アイランド

10月30日
motoGP round17 マレーシアGP セパン・サーキット
SUPERBIKE   round14 カタール ロザイル・サーキット
SUPER FORMULA round7 鈴鹿

11月6日
全日本ロードレース round9 鈴鹿

11月13日
motoGP round18 バルセロナGP リカルド・トロモ・サーキット
SUPER GT round8 モテギ

2016年3月14日 (月)

親日派のための弁明2

親日派のための弁明2  キム・ワンソプ

親日派のための弁明から2年後の2004年に書かれてます。
前著より冷静にいくつかの日韓間の問題について深く掘り下げた、という感じの本になってますね。

まずは閔妃です。日韓併合前の大韓帝国時代の朝鮮半島で権勢をふるっていた女性ですね。
現在の韓国ではこの閔妃を国母として扱ってるとか。
そのことの正当性を検証してる。
閔妃は朝鮮半島を統制していたのに日本に殺されたかわいそうな人だということなんでしょうが、そうではなくて、個人のわがままで朝鮮半島を無茶苦茶にしたということを冷静に分析している。閔妃暗殺は日本の陰謀とか朝鮮人によるテロとかいろいろ見方があるんでしょうが、それらが複雑に絡まって起こったということでしょう。古い話なんで、あまり決定的な証拠が残ってないので状況から判断するしかないのでしょう。しかし閔妃の生前の政治はやっぱり朝鮮半島にとってはまさに売国的であったというのが事実ではないかと思いますね。

伊藤博文公と朝鮮総督府。僕自身あまり伊藤博文のことについてあまり知らない。しかし著者は東洋のビスマルクと政治家として高く評価してる。実際初代総理大臣で朝鮮半島経営にも乗り出して改革を進めていたことはすごいことだと思う。
もちろん伊藤博文を暗殺したアン・ジュングンについてもただのテロリストとしてる。
朝鮮総督府のやったことについても、どうも日本が朝鮮半島を植民地化して朝鮮人の尊厳や文化も何もかも奪っていったというのが韓国人と自虐史観の日本の認識ということのようですが、朝鮮総督府の土地改革のことを詳しく分析して、朝鮮半島にとって土地改革が近代化への第一歩だったのだとしている。そして李氏朝鮮時代を通じて、朝鮮人には土地改革ができなかったのだから、日本統治がなくても朝鮮人自身で近代化はできたはずだという議論間違ってるとしています。

太平洋戦争と慰安婦。
前著でアメリカによる原爆投下が新兵器実験だ、と語っていたのと同じような感じで、真珠湾攻撃について分析してる。
ぼくは山岡荘八氏の太平洋戦争を読んだんですが、真珠湾攻撃については、アメリカ側は知っていて、日本との戦争を始めるために先に叩かせたんだという見方は著者と同じです。
この日本の太平洋戦争突入がアメリカ側からの陰謀だということを戦後のアメリカ人による研究等も紹介しながら解説する。
そして年末に日韓間で不可逆的に解決した慰安婦問題についても書いている。
この慰安婦問題の件で、旧日本軍の慰安婦制度に対する見方は初めて接した。
前線の兵士に対する性の解決を”慰安婦”を用いて解決しようとした日本は画期的だという話ですね。これはちょっと驚いた。そして女性問題につながるので公に慰安婦を提供できない現代軍では、女性兵士が一部そういう部分を担ってるんじゃないか、という見方をしてるのにはもっとびっくりした。
もちろん韓国人の旧日本軍慰安婦だとされる人たちの問題についても、いろいろ数字もだして反論してくれている。

日韓問題は冷静に分析してるんですが、漢江の奇跡(ハンガンの奇跡)についてはちょっと違うようです。漢江の奇跡とは、1970年代の韓国の驚異的な経済発展のことを指す言葉ですが、日韓基本条約での日本からのお金についても触れてはいますが、やっぱり韓国人の誇りなんでしょうか、日本のお金よりも自分たちで成し遂げた、というニュアンスで書かれています。日韓基本条約で日本から韓国にいろいろな名目で支払われたお金の額や使われ方を詳しく検討してないのは、日本のお金があったから韓国が経済発展したということの意味を薄めていという思いがあるのかなと思ってしまった。
まあこの辺はしょうがないかな。

最後に日本の歴史教科書に韓国側からイチャモンをつけてる件を細かく分析してますね。
そもそも他国の歴史教科書に韓国政府が文句を言うという行為自体が考えられないものですが、日本側もあまりまともに相手してるようには見えませんね。
それよりも中国が朝鮮半島を属国だったと教えてることにもちゃんと韓国政府は文句を言わないとだめですね。
今でも中国の属国だから言えないのかな、いや事実だから言えないね。

親日派のための弁明のような、韓国人が冷静に歴史を見つめてる本が、韓国で発行禁止措置になっている。こんな言論統制をしていて、韓国に言論の自由がある、なんてよく言えますね。
韓国は表向き民主国家となってますが、中身はまだまだ先進国からは程遠いということでしょうか。
ほんとのことが言えない国、韓国。これからどこに向かっていくんでしょうか。

2016年3月 9日 (水)

親日派のための弁明

親日派のための弁明   キム・ワンソプ

 

まえから気になってた本なんですが、やっと読みました。

 

初版は2002年なんですね、もっと早く読んどくべきでした。

 

これは韓国人の著者が韓国人向けに韓国で出版したものを日本語訳で出した本です。
とうぜん著者は韓国人ですが、日本人よりも近代日本の歴史については詳しいと思われます。

戦後の日本は占領政策によってかなりゆがめられた教育がなされていたことは間違いないでしょう。特に歴史に関してはよく言われる「自虐史観」というものにのっとって日本の近代史を教えてる。
自分も普通に日本の義務教育と高校、大学まで一応行きましたが、日本の歴史教育は江戸時代までの分量が厚くて、近代史は駆け足で教えるだけで詳しくない。しかも明治維新後は欧米列強に並び立つまでは良いけど、その後戦争に突き進むところからは、完全に「悪者の日本」という見方でしか歴史が語られない。この辺はやはり残念ですね。日本人が日本の近代史を学ぼうと思うと、個人的にいろいろな本を読まないと詳しいところが解らない。しかしその近代史の本もちゃんと選ばないと自虐史観に基づいて書かれてると世界の中の日本の本当の姿が解らないという難しいことになってますね。

日本人は外国と接することがほとんどないので、日本のことが客観的には見えない。だから日本のことは一旦日本を出て外から見た方がよく見えるというのは本当だと思います。

そしてこの著者のキム・ワンソプさんですが、この人もこの本を書くきっかけになったのは2年間のオーストラリア生活を経験してからのようです。
というのは、韓国もその教育はかなり偏っていて、本当の歴史を教えてない。
だから、海外に出て韓国の本当のことを知ってそれで目が覚めたようです。

そこから韓国人の日本に対する態度がおかしいと思っていろいろ調べるうちに、日本も自虐史観で日本人自身が変な歴史観を持ってるということに気付くんですね。
しかしこのキムさんが指摘する日本の変な歴史観について、まだほとんどの日本人がおかしいと気付かずにいるというのが現実ではないでしょうか。

実際に海外に出て日本のことを考えるのが一番日本の本質について気付きやすいとは思いますが、こういう外国人による日本観についての本を読むことでも自分の知らない日本が見えてくると思う。

基本的には韓国の親日派に対する弁明なので韓国についての日本との関係を書いておられます。
だから日韓間の近代史についてはこの本を読めばだいたい流れは理解できる。そして日韓の近代史といえば日韓併合からが直接的な関係になりますが、その前段階の朝鮮半島の状態、日本の幕末から明治維新にさかのぼり、なぜ朝鮮半島は日本に併合されなければならなかったのか、そしてなぜ日本は朝鮮半島経営に直接乗り出さなければならなかったのか、こういう歴史的事実を偏見なく書かれてると思う。偏見とは、韓国人や日本人の中にもいますが、「日本による朝鮮の植民地化」「日本による朝鮮侵略」という見方ではないということです。

それと太平洋戦争についても当然書かれてる、この中でびっくりしたのは、アメリカによる広島、長崎の原爆投下についてです。日本では声を大にして言う人を見たことがない、というかタブー視されてるわけですが、このアメリカの原爆投下を、「アメリカの新兵器実験」だとはっきり書いてる。これはまえから僕もそう思っていたんだけどそういう意見を友達にも言えないし理解してもらえない雰囲気が日本にあると思う。原爆投下のこと調べると新兵器実験であると思える背景は確かにあるけど、日本でさえ定説ではないことを韓国人が発表してることにびっくりした。

竹島問題、これも最近では普通にニュースにもなるので多くの日本人も知るところとなりましたが、最近まで知らなかった人の方が多いでしょう。僕もあまり知らなかった。この竹島問題も詳しく経緯が書いてあり、完全に日本の領土としてあるのは当然といえば当然なんだけど、韓国人が冷静に歴史的事実を判断して書いてるところに意味があると思う。

日本の宗教観についても面白い見方をしています。日本の宗教は日本人自身があまりこだわりがないというか、普段から宗教を意識せずにくらいしてるので、あまり考えず、そして理解してない。僕は井沢元彦氏の本から、日本人は「日本教」なんだ、という意見に賛成ですが、このキムさんは日本の新道精神が上級宗教だと言ってる。そこから靖国神社、政治家の靖国参拝問題について書かれてる。とうぜん「なぜ政治家の靖国参拝が問題になるのか!?」という意見です。

そして国の独立についてです。これは全く考えたことがなかった見方でした。まあ僕は日本人なんで、韓国が独立せず今も日本のままだったら?という問いを考えるなんて想像もできなかったわけですが、キム氏はハワイとプエルトリコの例を出して、韓国と台湾は日本による統治時代があったからこそ戦後アジアの中でいち早く経済発展できたのだという見方で、さらに韓国は太平洋戦争後も日本の統治のままであったならハワイのように豊かな国になっていたかもしれない!という意見です。これにはびっくりした、あれほど日本の朝鮮併合に文句を言ってる国の一人であるキム氏が、独立せずに日本のままだった方が韓国はもっと豊かな国になっていたはずだと分析してるのには驚いた。冷静に考えると、ほんとにそうかもしれないですね、それほど韓国人の統治システムは腐敗が多いと国民は思ってるのでしょうね。

いろいろ書きましたが、日韓近代史、いや日本の近代史の本として一度目を通されることをお勧めします。

最後に翻訳者が朝鮮問題に詳しすぎる荒木和博先生なので日本語訳の本ですがすごく読みやすいです。

2016年3月 1日 (火)

朝鮮通信使をよみなおす

朝鮮通信使をよみなおす 仲尾 宏
    「鎖国」史観を越えて

仲尾先生は日朝関係を中心に研究されてるのだと思います。著作を見ても朝鮮関係の本をたくさん出しておられます。
今回の「朝鮮通信使をよみなおす」は学術論文ではなくてシンポジウム等で発信したものをまとめたもののようです。

まず全体的に読みにくいです。
サブタイトルに「鎖国史観を越えて」とありますが、仲尾先生は、江戸時代の見方としての通説というか一般に理解されてる「鎖国」という見方とは違う角度から評価しようとしてる。その中での日朝関係を見ようとするわけですが、その先生が言うところの「鎖国史観」を無理に否定しようとする内容がちょっと無理があるように思う。
それよりも、批判を恐れずにもっと言うとですね、仲尾先生の考え方の基本は「朝鮮は偉大な国である」と言うところにあるのではないかとさえ思える。

学術論文ではないと”はじめに”の部分で断わってるので、歴史学としての先生の意見ではなくて、仲尾先生の考える「江戸時代の日朝関係と朝鮮通信使の本」として出したということですね。

全体的に日本や江戸幕府を無理に貶めるようなことはさすがにあまりないんですが、朝鮮を無理に立派な国に見せようとする記述ははじめから最後まで貫いてる。
シンポジウム等で聴衆に向かっての演説であれば、聞く側にそれほど知識がなければ、「なるほど朝鮮は江戸時代に日本に多大な影響を与えたんだな」とだますことができるかもしれないですが、本で読むとすごく違和感があって、突っ込みどころ満載な感じです。

仲尾先生は「鎖国史観を越えて」と言って江戸時代を鎖国時代とする見方をある意味偏った見方だと批判するが、先生の「朝鮮は偉大だ」という先入観による朝鮮通信使と江戸時代に対する見方もこれまた偏ってると言わざるを得ない。

第2章で江戸時代の「鎖国」についてのことを説明してますが、先生は江戸時代は「鎖国」ではない、なぜなら江戸幕府は「鎖国令」を出したわけではない。鎖国とは19世紀にはいって江戸幕府の制限・規制貿易を指して名付けられたからだ、と言ってる。
「江戸幕府が鎖国令を出してないから江戸時代は鎖国時代ではない」これは無理がある。というか言葉遊びですね。
どうも先生は左派系の人がよく使う問題のすり替えをしてるように見える。
去年大きな話題になった、安保法制を「戦争法案」と全く違う名前で呼ぶのと同じ匂いがする。
実際江戸時代は長崎でのみ貿易を許されて、日本人が自由に海外に出ることができず、外国人も自由に日本に入ることも動きまわることもできなかったわけだから、こういう状態を指して「鎖国」と呼んでるわけだから何の問題もないはず。「鎖国史観」を否定するのに「朝鮮通信使」とか北海道のアイヌとか今の沖縄の琉球王国との交流を出してくるけど、これもかなり無理がありますね。

細かい内容は覚えてないので、なんとなく覚えてることで違和感のあったことを書いていきます。

朝鮮通信使の評価ですが、これを先生は江戸幕府と朝鮮王朝との”対等”な付き合いだったとします。それはお互い朝鮮王と徳川将軍で対等な立場として国書をかわしてるからだとします。
しかし他の見方として、当時の日本側の幕府関係者や大名や僧侶、商人等々たくさんの人々が残した文書や日記にはたびたび「朝鮮の朝貢使」や「朝鮮入貢」などの記述がたくさんある。これはどういうことか?
江戸幕府の国書は一応外交使節団に対して失礼がないように朝鮮王の派遣して来た使節に対等に対応したのであって、当時の日本側の人たちは朝鮮通信使のことを「朝貢使節だ」と思っていたということです。
だから形式的には江戸幕府と朝鮮王朝は対等な関係としてたけど、実質的には「朝貢」であった、もしくは日本側は「朝貢」だと認識していた、というのが正当な評価になるのではないかと思う。

出島に来ていたオランダ商人が数人だけでしか江戸入城を許されなかったということを書いている。それに対して朝鮮通信使は毎回500人ほどが江戸まで来ていた。そして日本側はこの500人余りの朝鮮通信使を大名が莫大な費用を掛けて接待したとある。
この朝鮮通信使に対する日本側の接待の内容は、
どれほど各地の大名が苦労をして接待したかが書いてある。
これほどのもてなしをしていたということは、朝鮮通信使は日本にとって大切な使節団だった証拠だ、と言いたいようですが、中国には「有能なやつはもてなすな、無能なやつは盛大にもてなせ」的な言葉があるそうで、これがそのままあてはまると思う。
江戸幕府にとってオランダは自分たちより進んだ技術を持って侵略しに来てるから、大ぴらに日本国中を見せなかったのであり、朝鮮使節団には日本をたくさんの朝鮮人に見せても問題ないと江戸幕府が判断していたということだと僕は思う。要するに朝鮮が日本を侵略してくる心配などない小さい国だと江戸幕府が思ってたということです。

朝鮮通信使と日本人の交流についても、日本人が朝鮮人に書を沢山頼んだり、歌を詠みあったり、儒学の論争をしたということです。そして、初期のころは日本の儒学は朝鮮人には「大したことがない」と言われていたらしい。しかし江戸中期ころからは日本の儒学者のレベルも上がったとか。
まあ儒学や朱子学のことは僕自身全然わからないので評価しようがないですが、朝鮮側から見て日本の儒学者は大したことがなかった、朝鮮は進んだ学問を持っていたと言いたかったようです。
これもなんか違和感を覚えた。なんか江戸時代の学問は儒学、朱子学だけのように聞こえる。しかしどう考えても日本では江戸期以前から和歌は発達してるし、日本国内の学問や日本語での書物も当時からたくさんあった。だから儒学、朱子学だけ取り上げて日朝を比較するのはどうかな。
そもそも儒学も朱子学も中国の学問で、朝鮮の学問ではない!当時の朝鮮は中国語ができないと政権側に入れないのですよ。中国に対してどれほど忠誠を尽くせるかが立派である基準なんだから。だから朝鮮独自の学問は発展してないんじゃないですかね。このことは現在の韓国にも言えるんでないですか?日本側で中国語ができる人が少ないことを批判的に見てるようですが、日本国内で生活するのに中国語はいらないですからね。しかし朝鮮では偉くなるには中国語が必須だったわけです。だから儒学でどうこうはどうでもいい。

現代日本でも「今からは英語くらい話せないと役立たず」みたいなことをいう人がいますが、全然そんなことない。日本にいて日本で暮らすのに英語なんていらない。英語が必要になったら勉強すればいい、それだけのことです。日本人には英語ができる人が少ないから立派な国でない、という意見は相手にされないでしょう。
当時の朝鮮が中国語ができないと偉くなれなかったのは、中国の属国だったからですよ。

年号についてです。仲尾先生は朝鮮側からの目線で書いておられます。朝鮮通信使の動きについて年代を西暦や干支で書くのはまあいいでしょう、しかしですね、日本側のことを書くのに一七〇九(宝永六)として、先に西暦で書いてカッコ書きで邦暦を後に書くのは非常に違和感がある。やはり日本の出来事は邦暦で書いてカッコ書きで西暦を書いてほしい。この辺も、仲尾先生はどうしても日本が好きになれない感じの人なんでしょうか。
文禄の役等の歴史事件も「壬辰倭乱」と書くのもなんか違う感じがする。日本人向けとは思えない、わざとわかりにくくしてる気がする。

いろいろ書きましたが、仲尾先生の「朝鮮通信使は日本に多大な影響を残した」史観は気持ち悪い。歴史を直視すればそんな評価にならないはず。
逆に朝鮮通信使が日本のことを羨んでいたような記事はほとんど紹介してない。朝鮮通信使にとって都合の悪いことは全然書いてない、こういう一方的な史観こそ「越えないといけない」考えなんではないですか。

だいたい国と国の付き合いで、「対等」なんてありえない。国力が違うんだから、やっぱり影響力の大きい小さいはでてくる。しかし国力が違うからと言って相手を見下すというのは違う。相手を尊重しながら付き合うことが大事なのであって、無理に背伸びをして対等になろうとする方がだめだと思うけどな。
どうも先生は江戸時代の朝鮮通信使は対等に江戸幕府と付き合っていたのだから、現代の日韓関係も対等なお付き合いをしなけらばならないとでも言いたそうですが、現代はお互い独立国なんだから対等なお付き合いでしょ。逆に韓国が一方的に根拠もなく日本を見下してるように見えるのは僕だけか。

思い出したので追記。
確か本書の中で、「今まであまり顧みられなかった朝鮮通信使の対等な立場での外交を現在の日韓関係に役立てよう」的なことが書いてあった。この言葉は先生の言う「朝鮮通信使は江戸時代の日本に多大な影響を残した」という見方と矛盾する。なぜなら江戸時代の日本に多大な影響を及ぼしたのなら、その痕跡が現在日本に多く残ってるはずだし、その現代の朝鮮通信使の痕跡の研究がずーとなされてないとおかしい。明治維新や黒船来航などは日本人のだれもが知ってる歴史事件だし本もいっぱい出てる。それに比べ朝鮮通信使は学校教育の歴史ではほとんど触れられない、それに先生自体が「いままで顧みられなかった」と言ってる、いままで無視されてきたり学校で教えられてきてないということは、すなわち「朝鮮通信使は日本にはほとんど影響を与えなかった」というのが事実ではないのか。

あまりにも偏ってた朝鮮通信使史観だったので、他の先生の朝鮮通信使の本も読まなければいけなくなった。朝鮮通信使に疑問を覚えさせるという意味ではこの本は成功かな。

もうひとつ思い出したから追記。
「太平洋戦争」についてです。
第二次大戦のことですが、おおざっぱに言って、その中でも日本が主にアメリカと戦った戦争について「太平洋戦争」ということでだいたいあってるでしょう。戦場は太平洋から中国、インドシナ半島、マレー半島、インドネシア、その先もっと南方と広い地域になります。
普通日本人的には第二次大戦のことは「太平洋戦争」で通じるはず。
しかしですね、仲尾先生は「アジア太平洋戦争」と何度も書いてる。こんな表現初めて見た。他では聞いたことがない。
わざわざ「アジア」とつけて日本がアジア地域に酷いことをしたんだとというイメージを植え付けたいのか?
この本は朝鮮通信使なので、朝鮮半島の話だったわけだけど、太平洋戦争でアジア地域が戦場になったのは間違いないけど、朝鮮半島は太平洋戦争では大きな戦闘はなかったのですよ。さも太平洋戦争で朝鮮半島が破壊しつくされたようにイメージしたいのでしょうがそれは無理がある。台湾はアメリカ軍の北上で沖縄手前にある関係で戦場になってるが、アメリカ軍は確かフィリンピンから台湾を飛ばして一気に沖縄に来てないかな?この辺はあいまいで申し訳ない。
しかし朝鮮半島は日本軍とアメリカ軍の戦場にはなってない。
以前、外国のテレビ局が作った韓国の史跡の案内人を紹介する番組で、「韓国の古い寺院が破壊されたのは、まえの戦争で日本軍が破壊しつくしたからだと」韓国人ガイドが旅行者に説明しててびっくりした。
朝鮮半島がそれこそ何もかも南から北まで破壊されつくしたのは太平洋戦争後の朝鮮戦争で、朝鮮人同士が朝鮮半島を破壊したんですよ。その辺韓国人が知らなくて、朝鮮戦争より前の太平洋戦争で日本軍が破壊したことになってる。
そりゃこんな歴史認識じゃ日本とは価値観を共有できないというものでしょう。

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