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2013年8月 2日 (金)

古代史私注

古代史私注:松本清張

松本清張さんはもちろん推理小説で有名な方であります。本職の推理小説も大変面白いですが、清張さんの古代史関連の本も歴史に対する氏の独自の解釈が非常に面白く勉強になります。

この本は雑誌に連載していたものをまとめた本になるようです。一回の分量が原稿用紙3枚にしていたようで、一つの話題を短く説明されてますが、一回では収まらず何編かに渡って同じようなテーマでいくことがありますね。

さて清張先生は小説家という立場から古代史を見ていかれるのですが、単なる趣味で古代史をやってるという領域ではないです。特に漢文にお詳しいのか、原文で漢文を理解されるのか、時に歴史の学会の定説とはぜんぜん違う解釈をされます。
しかし、歴史の学会は清張氏のような歴史家、学会の中の人でない人の意見はほとんど無視されますね。現在でも梅原猛さんや井沢元彦さんなんかの歴史の見方も無視されてるようで残念です。

この本が書かれたのはもう結構昔になるので、出版以降の目覚ましい考古学的な発見や新たな知見については反映されてないので、その辺は古さを感じるし、現在の定説とは違ってきてる話もありました。

しかし清張先生の漢文の解釈は定説よりもシンプルでわかりやすいなと思うことがあります。
先生は”魏志倭人伝”についてはよく研究しておられるんですが、今回も「一大率」と「一支率」についてでは、前にある「一大国」が「一支国」の誤りが定説なのだから、この部分の「一大率」も「一支率」とするほうが正しいのではないか、その方が意味も通りやすいと言っておられます。ぼくもこの清張説のほうが自然ではないかと思いますね。

この本ではないですが、以前に読んだ本でも、”魏志倭人伝”の邪馬台国の各国までの距離についても、その記述が具体的にそれぞれの国間の距離をあらわしてるのではなくて、その数字にはあまり意味はなく、”遠い国”くらいの意味しか持たず、そこにあてられてる数字は当時の良い数字を当てているのだという説のほうがよほどすっきりすると思う。
先生はこういう検証をするとき、魏志以外の中国書もいろいろ取り上げて似てる事例を出されるので納得しやすいです。
”魏志”のような古い中国の歴史書が距離を正確に書いてないということは、今回の本でも紹介されてます。中国の西の、大陸の中央部の方の国の距離が結構でたらめで、距離の数字をあまり重要視しないほうがいいということを言ってますね。

清張先生はほんとに広く日本だけでなく中国や中央アジア、ヨーロッパの歴史、文化にも深い知識があり、いろんな日本の古代文化の中にそういう遠い西の国の影響が見られるということをいろんな事例を上げて書かれています。
そういう考察はすごいなと思う反面、ちょっと僕には違和感を覚えるところもあります。
というのは、古代に遠くエジプト辺りからの物や人が日本列島に来ていたということを否定するものではないし、そういうこともあったろうとは思うんだけど、日本の古代文化の細かい部分が似てるからといって、何でもかんでも外国文化の影響、または物まねというのはちょっと違うんじゃないかなと思うのです。
今でも、古代史ではなんでも半島からの影響と結びつけたがるけど、もっと日本人の独自の文化という見かたでもいいのではないかなと思うことがありますね。

この本は古い本なのであまり今から読む人は少ないとは思いますが、最後に一つ。
この本ではたくさの写真が紹介されてるのですが、法隆寺の写真が左右反転で間違って焼きつけてますね。見た瞬間違和感を覚えて、前にある伽藍配置の図と見比べても写真が反転してるのは明らかですね。五重塔と金堂が右左逆なのですぐ解ります。

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