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2013年8月 2日 (金)

巨大古墳を造る

史話 日本の古代㈣
巨大古墳を造る:大塚初重/編

史話 日本の古代というシリーズ物の4巻です。

大塚先生が編集となってますが、中身は18人ほどの先生がいろんなところで発表されてる論文や著作の一部を集めて一冊の本にしたものです。

最初はいきなり江上先生の騎馬民族征服王朝説、それに続いて佐原先生の騎馬民族は来なかったです。
ここで紹介されてる部分は大体それぞれの先生の本で読んだことがある部分でしたね。

佐原先生の騎馬民族説に対する反論では他の先生の騎馬民族説の考え方の危険性が指摘されてます。というのは、ある民族の優位性を強調すると、もう一方の民族を劣等民族と見ることになるという指摘ですね。これはナチスのユダヤ政策に通じる危険な考え方であると。
ほんとにそうですね、騎馬民族が優れているから日本を支配したというのはちょっとどうかな。まぁ騎馬民族説はいろんな形でしっかり批判されて正当性は完全に否定されてるのですが、佐原先生も危惧されてるように、一般の人の間では相変わらず人気のある説だというのは面白いですね。
それは一つには江上先生の頑張りと反論する先生の声が小さかったからか?と佐原先生自身が反省されてますね。
いまでも突拍子もない説を発表される方がいらっしゃいますが、そういう人の説は、その説の実証以前に論理が破たんしてるように思われるが、そこはすっ飛ばして強硬に自説を主張するとところに違和感を覚えますね。

この本は古墳時代に関するいろんな先生の考え方がいっぺんに読み比べることができるので、非常にわかりやすくできてます。
というのは、ある先生の本を読んでると、こちらにはそれほど知識がないので、偉い先生の論文だからと無批判に信じ込んでしまうんですが、この本だと、すぐ次の先生の話で、先の先生の話を批判的に書いてある論文が載っている。
これはすぐに意見の違いを比べることができて良かったです。

今回の本では先日読んだ白石先生の近畿の古墳と古代史でちょっと疑問に思ったことが、説明されててすっきりした。
それは、白石先生は古墳はその大王の本貫地に作られるという説についてです。
ぼくもこれはちょっとどうなの?と思ってたのです。
特に百舌鳥古墳群については、その説でいくと、百舌鳥に巨大な勢力を持った人物がそこに巨大古墳を造ったということになるけど、どうもそのあたりに4~5世紀に巨大な勢力がいたような痕跡はないように思うのですよね。
これは熊谷先生が書いてくれてますが、百舌鳥の巨大古墳は、そこにあった勢力の首長が古墳を造営したのではなくて、ヤマトの勢力が古墳だけを国の入り口にあたる百舌鳥に造ったという方がすっきりするように思う。だいたい百舌鳥や古市に都はなかったようだしね。

あと興味深かったのは、古代においては雄略朝が強く意識されてるのではないかという岸俊男先生の話です。
「古事記」「日本書紀」「万葉集」などで内容や書式などで分類してみた時に雄略天皇のところが重要な区切りになってるのではないか、という説ですね。
継体王朝はよく交替王朝のようにして出てきますが、雄略王朝のほうが古代では区切りとして強く意識されてるのだとしたら、そこに何があったのか?頭の片隅に置いておくとこれからの古代史の見方も変わってくるかもしれないですね。

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