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2012年12月 4日 (火)

邪馬台国をとらえなおす

邪馬台国をとらえなおす:大塚初重  講談社現代新書

発掘考古学の先生が考古学の立場から邪馬台国の問題点をわかりやすく解説してくれる新書です。

2012年初版なので最新の成果も紹介されています。
邪馬台国といえば「魏志倭人伝」ですがこの本でもまずはじめに、「三国志」の中の「魏書東夷伝倭人条」を通称「魏志倭人伝」と紹介されてます。

まず最近の調査資料の技術として紹介されてるのが、卑弥呼の鏡かと話題になる鏡の分析方法ですね。
最近のデジタルでの高精度三次元形状計測装置による分析技術により同笵鏡の分析が正確にできるようになってるんですね。これで割れてる鏡の一部からでも同笵鏡がわかるんでしょうね。

考古学の先生ですが「魏志倭人伝」を避けて通れない。この本では「魏志倭人伝」の書き下しの全文を紹介してあります。
いままでいろんな本を見てきましたが、「倭人伝」の一部だけを紹介して、解説するという本ばかりで、全文を通して載せてくれてる本に初めて出会いました。
全文をみると素人には理解できないまでも、こんなことが書いてあるのかと思うことがあります。

これまた必ず出てくる「漢委奴国王」印にも触れられています。
ぼくは三浦先生の本を読んでこの”金印”は偽物だと確信してますが、本書では工芸文化研究所・理事長の鈴木氏による金属技術史的な研究からの偽造説を紹介されております。
けどこれがいろいろ問題はあるが歴史学的には本物とされてるということのようですね。
まあ国宝にもなってますから、いまさら偽物扱いできないというのはあると思いますが・・・

大塚先生は東京の先生ということで東日本から見た邪馬台国問題という視点で見られてます。そこで東日本の土器や鉄剣、鏡や古墳の分析から邪馬台国はどちらかというと畿内説という感じなんでしょうか。

邪馬台国は弥生時代という認識が、箸墓古墳の年代が240~260年になるというような分析結果が出てきたりで、最近では古墳時代が3世紀ごろから始まると考えられるようになり、それに伴って、邪馬台国の時代も古墳時代にかかってくるのでは?と考えられるようになってきてるのですね。
しかし、科学的な分析が進んでも考古学では絶対年代をきめるのは難しい。

もうひとつ、九州説の先生が問題にされる畿内での鉄器の出土が少ないという問題は、畿内の土壌が鉄器を残しにくいという問題もあるということのようです。

歴史学とは違う分野の方の意見としては、作家の松本清張さんが2回ほど出てきます。ぼくは松本清張氏の古代史の見方は好きなのでまた氏の本を読んでみようと思いました。

いろいろ本を読んでもまだまだ謎だらけでわからないことがいっぱいですね。

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